美忘録

羅列です

夏に敗れた男

東京の夏をあまりにも軽視していた。飯田も東京もさほど緯度が変わらないから平気だろうとタカを括り、あまつさえ炎天下の四谷に単身突撃した己が愚かさを心から恨んだ。

 

その日は2限スタートであった。爽涼たる11号館にて一切の暑さから逃れながらフランス語単語をセコセコと頭に叩き入れていた。

 

なんと快適なのだろう、文明の利器とはかくも素晴らしいものだったか。冷房がない時代に生まれた人間はさぞかし苦しみに悶えながら生きてきたことだろうと空想上の先人に想いを馳せながら何一つ不自由のない2限を過ごした。

 

異変が起きたのは昼休みに入ってからである。

 

学科の友人らといつも通りの他愛のない会話に無理やり花を咲かせていると、ふと脳の底から鼓動を打つような痛みが頭の中を逡巡した。

 

これはヤベェなと直感した。放っておいたらサルトルの主著名みたいな行為に及んでしまう可能性があった。つまり、その、ゲロである。

 

私の行動は迅速だった。速やかに3限を切る選択をし、よろめきながらホフマンホール2階のメディカルセンターに向かった。

 

ベットに横になった瞬間、安堵とともに眩暈と頭痛と吐き気が一気に去来し、私は約10年ぶりに嘔吐した。オエーーーッッッ!!!(AA略)

 

嘔吐した旨をメディカルセンターの看護婦に伝えると、我々が提供できる医療技術ではもはや貴方を救うことはできないと死刑宣告を受け、猛暑の四ツ谷を徒歩で病院まで歩くよう促された。オイオイオイ死ぬわ因果。

 

生ける屍のごとく重い足取り、蒼白な顔面のまま必死の思いで辿り着いた四ツ谷の病院にて私は衝撃の宣告を受けた。

 

「点滴、しましょうか」

 

魔剤?

 

私は根っからのレイシストである。従って点滴というのは精神が摩耗しきった精神異常者やメンヘラが受ける施術であると信じてやまなかった。そして点滴を甘んじて受け入れることは即ち私自身の健全性の否定に直結してしまうと、そう確信していた。

 

「て、点滴なんて…そんな…」

 

私はこんなところで「メンヘラ」になってしまうのか。こんなところで敗北していいのか。様々な葛藤が頭の中を逡巡し、そしてついに私はその場で倒れてしまった。

 

(全部嘘だしメッチャ久しぶりの点滴にワクワクしました😇)

 

しかし地獄はまさにこの先にあった。

 

何はともあれ、点滴の仕組みを想像して欲しい。

 

そう、薬品を体内に直接送り込むために腕に針を刺すのである。

 

しかし考えてもみてほしい。こんな残虐な医療方法が未だかつてあっただろうか。ナチスの医者も恐れおののく極悪非道っぷりではないか。

 

少しでも腕を動かせば、この針は、私の皮膚を、血管を、容赦なく屠るだろうという恐怖感。そしてそれは薬品が切れるまでの30分間続く…

 

あんまりだ…あんまりじゃあないか…こんなのは…

 

悠久にも等しい30分を乗り越えた私は挨拶もそこそこに病院から追い出された。依然として体は重く、吐き気は治らない。

 

あぁ、俺はこのまま死ぬのだろうか。丸ノ内線の涼しい車内で、私は眠りに落ちた。

 

うたた寝から冷めた頃には既に東高円寺駅を通過していた。

 

どういうわけだかさっきまで身体中をのたうち回っていた倦怠感は綺麗さっぱり抜けきっており、空腹感さえ覚えるほどであった。

 

すごい、これが点滴の力か。点滴万歳、現代医療万歳。

 

新高円寺駅で降りると目の前にマクドナルドが見えたので衝動的に入店してしまった。

 

きっとこういう軽率な行為の積み重ねが今回のような失態を招くと知っていながらも、それでもやはりポテトLサイズ150円はあまりにも魅力的すぎた。

 

塩分過多のフライドポテトを口の中に放り込みながら、明日からは毎日野菜を食べようと心に誓った。

自転車は最強

自転車を買った。高円寺のサイクリングショップが軒並み閉業していたので早稲田まで足を運ぶ羽目になった。早稲田はクソ。

 

金がないのでギアチェンジ不能な1万4千円のカゴ付きクソチャリに甘んじた。もちろん保険は付けない。金がないので。

 

私はその場で自転車に跨り、そのまま新宿へと繰り出した。春先に何時間もかけて味わってきた感慨がわずか数分のうちに過ぎ去っていく。

 

なんと速いのだろう。私は、私はこんな短い距離ごときで疲弊していたのか。自転車はこれほどまでに便利な道具だったか。

 

容赦なく降り注ぐ日射しに辟易しながらダラダラ歩く人混みの間を颯爽と通り過ぎながら、自転車を持っていない人間は愚かだなぁと優越感に浸っていると、ふいに絶望が私の眼前に現れた。

 

デブだ。

 

デブが、デブが道を塞いでいる。

 

道幅の7割を自らの贅肉で封鎖している。現代社会が生み出した魔物だ。

 

しかも、

 

イヤホンをしている。

 

イヤホンだ。

 

イヤホンデブである。

 

外界の情報を一切遮断し己が殻の中に永久に閉じこもりながらも周囲の人間に迷惑をかけることはかかさない百害あって一利なしの史上最恐の生物兵器、イヤホンデブである。

 

オイオイオイ死ねよコイツ。

 

俺様は自転車ユーザーだからお前より偉いんだぞ、どけよ。

 

しかし私は賢いフレンズである。今ここでこの不愉快な肉塊を轢殺したとして、私に不利益が生じるのは自明である。私は考えた。考えて、考え抜いた末に、

 

―――自転車を降りた。

 

自転車が初めて人類に敗北した瞬間だった。しかも、こんなデブに。

 

デブに敗北した悲しみに暮れながらも私は自転車を漕ぎ続けた。メロスの如くひたすら走り続けた。いやメロス自転車使ってないけど。

 

新宿から自宅までをつなぐ青梅街道は延々と広くてまっすぐなので自転車ユーザーにとってはこれ以上ありがたいものはない。30度の炎天下の中、買い物かごを抱えながらイライラした顔で歩くババァに心の中で「死ねバァァァァァカ」と中指を立てながらシルベスター・健を飛ばした。シルベスター・健というのは私の自転車の名前で、私が今適当に付けた。由来はもちろんシルベスタースタローンと高倉健である。

 

家に着いた。すげぇ、こんなに早く着いちゃうのかよ・・・やべぇ・・・

 

私は自転車を手に入れ遂に無敵になってしまった。

 

私に勝てる人間などもはやこの世にはいない。

 

ケンカならいつでも買ってやるから死にてぇ奴は高円寺まで来な。

 

2秒でボコしてやるよ。

帰郷

金曜日、実家に帰った。文化祭に参加するという口実だったが、本当は友人やら後輩に会いたかっただけである。このように歳を食えば食うほど人は本心を韜晦したくなる。動機がなければ我々は何もできない。鬱。

 

新宿発飯田行きのバスを降りると、土臭い田畑の匂いが私の鼻腔をスーッと通り抜けた。高校時代の私は受験勉強で忙しいことを言い訳に堕落しきった生活を送っており、従って免許など取得しようとすら思っておらず、15キロ離れた自宅に帰る術がなかったので、仕方なく小学生時代からの幼馴染に送迎を頼んだ。

 

「よう久しぶり!」

 

3か月ぶりの邂逅を果たした彼の髪は鮮やかなピンクに染まりきっていた。

 

知っているぞ、こういう人間は友人を乗せた車の中でとりあえずEDMを流す。夜の国道153号線を我が物顔で疾走する。親の車で。

 

すると案の定彼は「なんか流すわ」とおもむろに携帯を車のスピーカーに接続しはじめた。おいやめろ、お前、いいのか、そんなテンプレみたいな生き方で。おい、やめろ、おい!

 

午前8時に目覚めた。よくわからんEDMがまだ頭の中で鳴り響いている。死んでほしい。

 

9時になるとピンク髪の幼馴染が家の前まで迎えに来た。この日はEDMの代わりに三代目J SOUL BROTHERSでんぱ組.incが無限に流れ続けた。俺はもうお前がわかんねぇよ…

 

放浪ドライブの末に変な山に着いたので写真を貼っておこうと思う。美しい私たちの町です。f:id:nikoniko390831:20170628092547j:image

 

時刻が午後1時を回ったのでとりあえず母校の近くの高校の文化祭に乗り込んだ。ここは私の母校より偏差値が10以上高い進学校様なので部外者の我々には人権がなかった。

 

人権もなければ友達もいないので校内をグルリと一周回っただけでなんか飽きてしまった。すれ違う人間全員が一流大学に行けるポテンシャルを秘めているんだろうなと思うと身震いがした。やはり私は上を見て己を奮い立たせるというよりかは下を見て安寧に胡座をかく方が性に合うようだ。

 

さていよいよ我が母校飯田風越高校に辿り着いた。相変わらず配慮のはの字もない急勾配の通学路に精神を摩耗させられながらも私は頑張って歩いた。すごい偉い。

 

校門をくぐり抜けるやいなや見知った顔があちらこちらに散見され、不意にノスタルジーが襲いかかってきた。

 

懐かしい気持ちに苛まれながら校内を周回していると、「あっ!因果じゃん!」「因果先輩チィーッス!」といった具合に仲の良かった同輩後輩が話しかけてきた。岡本ではなく因果と呼ばれるあたりにインターネット人格としての「因果」の方が現実人格の「岡本」よりもはるかに訴求力が強いことがうかがえる。負けんな岡本!頑張れ岡本!

 

そんなこんなで色々な後輩に現生徒会長が前夜祭でゲロを吐いた話や現生徒会長が前夜祭でゲロを吐いた話などを中心に、私が卒業した後の学校の様子について様々な話をしてもらった。

 

そうか、我々がいなくなった後も、高校生活というもの自体は連綿と続いていたのか。そしてその潮流の外へと疎外された我々はただひたすら「そうかそうか」と頷くことしかできないのだな。「もう戻れない」という実感を帯びてノスタルジーはより鮮明さを増した。

 

いやまぁゲロの話しかされてないんだけどさぁ!

 

翌日(日曜日)の早朝、狙いすましたかのように長野県南部を直撃する地震が起きた。天変地異さえもが私を憎んでいるのか、私が何をしたというのか。炎上の代償がこれか。殺すぞ。トラフには何とか勝ちたい。

 

文化祭2日目は生憎の曇天だった。

 

3ヶ月ぶりに担任に遭遇した。相変わらず理学部2年みたいな風貌をしていてとても英語教師とは思えない。首都大に落ちた報告を電話で伝えたら「ざまぁみろ」と言われた事件以降連絡を取り合っていなかったが、まぁ元気そうだった。なんか順風満帆っぽくて腹が立ったのでクレープを奢らせた。去年よりホイップが多めだった。

 

その後は部活の後輩のギター演奏をまるで保護者のような眼差しで見つめていた。多分後輩の皆さんは「何見てんのコイツキモ…」といった不快感を覚えていたことだろう。なるほどこういう世代間の認識の齟齬が老害OBを生み出していくんだろうなぁと思った。

 

全ての演目が終わり、拍手喝采の中で文化祭2日目が終わりを告げ、「部外者」の我々は早々に追い出された。

 

校門を出た際は10人ほどの集団だったが、駅に向かうにつれ一人、また一人と人数は減っていった。「飯田風越高校」という紐帯が解けた我々は、もはやこれ以上一緒にいることができないんだろう。高円寺駅から暗い夜道を一人歩きながら、そんなことを考えていた。

 

さて、自校の文化祭に初めて「客」として参加してみたわけだが、主体的に、「開催者」として参加するそれに比べると、やはり物足りなさを感じた(すごい楽しかったけどね!)。

 

言ってしまえば、クソダサいクラスTシャツを着たまま校内を闊歩する自由がなければ、誰もいない部室に勝手に入って寝られる自由がなければ、「ここから先展示物なし」の張り紙を無視する自由がなければ、文化祭も、地域で毎年開催される納涼祭と大して変わらない。

 

二度と戻れない高校時代を羨望する気持ちもあるが、色々欠落しているとはいえ大学生活は毎日楽しいので、もう後悔はない。多分。

 

ただ、そうはいっても高校と大学ではやはり楽しさの趣向が全く違うので、そういう点においてはやっぱり高校っていいなぁと思うことは多々ある。

 

適度に過去に引きずられつつも前を向いて生きていきたいと思った。

 

とりあえずまずは部屋を片付けて、それからアコギを買おう。

ヤバい炎上屋さん

炎上した。何がオタクどもの琴線に触れたのか知らんがとりあえず盛大に燃えた。

アカウントの規模的に、ごく小規模な炎上案件であればこれまでに何度も経験してきたが、ここまで大々的に燃え上がったのは今回が初めてである。

 

とりあえず許可なく勝手に私のツイートをまとめサイトにまとめたオレ的ゲーム速報のゴミデブガイジは地獄に落ちるかもしくは叙々苑を奢れ。或いは死ね。最悪死ぬだけでいい。

 

↓以下炎上した一連のツイート。

 

 

自分でツイートしておいた手前こんなことを言うのは非常にアレだが、これらは実に不愉快な文章である。自分の好きな作品をこんな汚い語彙で罵倒され、あまつさえ視聴者である自分たちの人格さえもを否定されたら、とてもじゃないが正気ではいられまい。

 

つまり、作品を貶され怒髪天に達して私に殺害予告を敢行してくださった中高戦隊イキリンジャーの皆様こそが、実は一番人間らしい人間であるのだ。彼らにはこれからもそのままであってほしい。

 

それはさておき、今回の炎上では私のもとに数百を超えるリプライ、引用RTが一挙に襲来した。私は前述したイキリンジャー各位とは違い、面倒事のひとつひとつに真摯に取り合うほどのイキリパワーを喪失していたので、それらのほとんどを無視していたが、今ここでそれらの一部をピックアップして適当に評価をつけようと思う。

 

①「知的障害者という表現は非情に不愉快だ」

→不特定多数が不愉快になることが前提なのだから「不愉快になった」なんて面と向かって言われたら私はもう勝利宣言するしかないじゃないか。でも「私はマイノリティーに対して理解がありますよ」的な態度が非常にムカつくので3点。

 

②「どっちでもいいですが部屋が汚いですね」

→これぞ典型的な論点のすり替えである。他に叩くことがないからと言ってとりあえずその他の観点から批判してくるのはNG。でもメッチャ心に刺さるので100点。

 

③「FF外から失礼するゾ~(謝罪)」

セクシャルマイノリティーの方を揶揄するようなリプライであり、非情に不愉快。やめてください。114514点。

 

④「お前マジで殺しに行くからな 一緒アニメ見んなよ sao馬鹿にしたじでんで死確定 ほんとに殺す マジで許さん」

→ともやくんは一向に殺しに来てくれないので0点。

 

⑤「お前はアニメが好きなんだろうけどアニメはお前のこと嫌いだよ」

→アニメという概念にさえ心を見出すアニミズム信仰者である。ご飯粒に神様が宿ってると本気で思い込んで一粒も残さず完食するような類の人間だろう。偉い。でも因果は君のこと嫌いだと思うよ。2点。

 

⑥「共謀罪反対運動に因果さんの力が必要なんです!アベ独裁政権にNOを!」

→恥も外聞も捨てて己が目的のためには手段を選ばない真摯さに脱帽。共謀罪が可決すると左翼の先輩の家が破壊されてしまい可哀想なので私も反対します。革命!1972点。

 

⑦「このラインナップの中にリゼロがないのはおかしいっしょ」

→リゼロ入れたら入れたで今度は「超電磁砲がない」とか「Angel Beats!がない」言い出すんだろお前、殺すぞ。欠落してるのはリゼロじゃなくてお前の脳みそである。0点。

 

⑧「嫌なら最後まで見るなよ」

→これを真に受けて本編を見ずに批判すると今度は「見てから叩けよ」というリプライが大挙するのでどうしようもないんです。これが見ろ/見るなのジレンマです。助けてくれ。50点。

 

⑨「熱盛ィ!失礼しました、熱盛と出てしまいました

→このリプライが一番多かった。とりあえずメンションを荒らしておけば私の精神を摩耗させることができるだろうという浅はかな算段にはただただ乾いた笑いがこみ上げて熱盛ィ!失礼しました、熱盛と出てしまいました。810点。

 

⑩「これに釣られてる奴バカすぎでしょwww因果さんが言ってることは正しいよ」

→この手の権威主義者には呆れてものも言えない。というかネットに流れてきただけの大学生オタクの戯言に権威を感じている時点で脳構造に何か重大な欠陥がある。そのうえ、「俺は釣られてるオタクより高次な存在だ」みたいな選民思想も垣間見えるので、ガチギレオタクよりもむしろタチが悪い。便所の落書きを礼賛する暇があるなら己の人格を研鑽しなさい。0点。

 

他にもクソという言葉を用いるにはあまりにもクソが可哀想になってくるようなこの世の終わりみたいなつまらないリプライが数多飛来した。オタクはシコって精子を飛ばすが如く知らん人間にクソリプを飛ばしては悦に入っているので本当に気持ちが悪い。

 

リプライ機能をオタクから剝奪しろ、オタクはTwitterなんかやめて外界と関わりを持て、外に出ろ、友達を作れ。

 

~~~以下ブログとしての最低限の体裁を保つためにしぶしぶ付け足した心にも思ってないまとめ~~~

 

本当に軽率でした。私自身も自分のツイートがここまで反響を呼ぶとは予測しておらず、つい侮辱的な語彙を多用してしまいました。これはひとえに私がTwitterの衆人環視性に対して無知だったがゆえに起こってしまったことだと思っております。これからはこういったことがないように誠心誠意努めていく所存でございます。

 

私の浅はかで未熟なツイートがTwitterの皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまったことを改めてお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

 

それじゃあ、またのぅ~~~~~~~~~~~~~~~~ィヤッ!!!!!!

都会生活

山、川、森、空気…と海以外の自然的要素なら全て揃った哀愁と絶望の魔都長野を離れて早1週間が経過した。

 

ぎこちないスーツに身を包み街を闊歩する新卒社員の波に揉まれながらも何とか都会のイロハを把捉しつつある今日この頃である。

 

さて、長野県を離れられる歓びも束の間、私はある不安を抱えていた。

 

そう、隣人関係である。

 

私の家庭はお世辞にも上流階級とは言えず、木曜の晩に出たカレーライスが土曜の昼飯になる程度には金がない。

 

そういう背景事情によって私は県で運営している寮に押し込められることに相成ったわけである。

 

寮というのはどうしてもプライベートが確立されず制約の鎖に縛られる窮屈な空間であるという先入観がはたらくが、実際そんなことは一切なかった。

 

個室は1人で使うには広すぎるくらいだし、寮生も皆同県出身ゆえに田舎くたばれネタを共有でき会話も弾む。

 

こうして住居に関する不安は杞憂に終わった。

 

しかし不安は絶えない。前進は痛みを伴うものであるとはいうが、まさにこの時期こそがそれに該当するだろう。大学生活が始まった。

 

私が通う大学はとにかく品位を重んじている節がある。思想が絡んだ感じのサークルやら研究会が発足されれば問答無用で弾圧されると聞くし、お嬢様高校上がりのボンボンが多いので運動面でもあまり良い話を聞かない。

 

このように何につけてもメソテースを気取る八方美人大学なので「クソフィア」「豆腐大学」などといった蔑称がたくさんあるのは周知の事実であろう。

 

私は自分が個性的な人間であるといった自覚はないし、これからもそう思う気は微塵もないのだが、残念ながら自己評価と周囲評価は往々にして乖離しているもので、友人や教員、果ては親や親戚にまで「お前はズレている」といった旨の罵倒を背に受け今まで何とか生きてきた。

 

もちろんその罵倒の中には「お前に上智は無理」「上智の品位が下がる」「上智の女を俺に紹介しろ」といったものも含まれており、私はそれについて少しばかりは苦悩していたわけである。

 

だがしかしこれもまた杞憂に終わるわけである。

 

「哲学科はヤバい」という謳い文句は、例を挙げるならJKがSNSに撒き散らす「ウチらってマジパーリーピーポーだよね〜マジで〜」といった肥大化した自己顕示欲求と帰属欲求選民思想が織り成す限界三重奏のようなものだと思っていたが、大学ともなると話は別であった。

 

哲学科はヤバい。

 

だがしかしこれは私を水を得た魚のように活気付かせた。例えば私が頭の中で渦巻くカオスな考えをそのままべらべらと口に出したとして、ここの学科の人間がそれを「あっそ」と片付けることは少ないし、あまつさえそれに対し何らかの賛同、あるいは批判を加えてくれるのだ。

 

いい学科に入ったと思う。せいぜい極端思想にドップリハマったり落単芸人になったらしない程度に大学生活を謳歌したい。

 

ゴミのような高校から無茶をして上京してきたが、これは正しい選択だったと私は思っている。マテリアル的にも、精神的にも、ここは私にとって最適の地である。

 

この地で生活できることを、高校生活においての自分の努力と何とか金を捻出してくれた親に感謝したいと思う。

金がない

さて、3月も中旬を過ぎ、花桃を揺らす春風とともに受験期の嫌な記憶もどこかへと吹き飛んでいくような、そんな心の軽い季節がやってきた。

 

大学の4年間は人生の夏休みとは言うが、そうは言ってもやはり、受験を終え、なおかつ新生活まで日程的な余裕がある今こそが、人生において一番「暇」な時期だろう。

 

しかし暇というのは持て余しすぎるとかえって煩わしくなるものであり、それを埋めるべく我々は予定を詰め込む。旅行に車校にバイトに読書ととにかく何かしらしようと思い立つわけである。

 

だがしかしこれらを遂行しようとすれば常に付きまとう問題が一つ。

 

そう、「金」である。

 

今時の暇つぶしにはとにかく金がかかる。

 

お花畑で蝶々を捕まえてキャッキャウフフするようなハイカラ趣味は今や漫画や映画の中にしか成立しない。花畑で蝶々を取るのにも金を取られる時代なのだから。

 

そう、輝かしい人類の進歩は我々に資本主義という足枷を掛けてしまったのだ。金がなければ何もできない。精神的安寧さえあれば金など要らないとは思うが、それを得ようにもまずは金によって生活基盤を整えなければ精神云々の話以前の問題である。

 

「ならバイトでもしろや」という意見が飛んでくるだろう。しかし俺は声を大にしてこう叫びたい。

 

「金で時間は買えぬ」と。

 

こうして、何を成せるでも、何を成すでもなく我々の休暇は無為の海へと沈んでいく。無為を無駄と思う感情と、そういう無為を快感とさえ感じつつある内心とのアンビバレンツに悩まされながら。

 

あぁ、もう3月も終わるんだ。

 

金のないままに。

 

そう、金のないままに。

VOCALOID

普段のツイートに下ネタと大学ネタが多すぎて忘れられがちではあるが、俺はVOCALOIDが好きである。

 

どのくらい好きかというとそりゃもうめっちゃ好きなのである。

 

好きの度合いを数値化する行為はナンセンスだという自覚はあるが、とりあえずf:id:nikoniko390831:20170309001702j:imagef:id:nikoniko390831:20170309001708j:imagef:id:nikoniko390831:20170309001713j:imagef:id:nikoniko390831:20170309001717j:imageこんな感じにCD蒐集が捗る程度には好きなのである。

 

そこで今日はそんなVOCALOIDについてダラダラ述べようと思う。

 

VOCALOIDが音楽のカテゴリの一角としての地位を獲得するまでに至れたのは、ひとえにVOCALOIDにその他の音楽との相違点があるからだろう。

 

その相違点とは何か?それは「半永久性」である。(「そこは声質だろ!」とか言われたらぐうの音も出ないが(笑))

 

普通のアーティストというのは、基本的に、現存在として存在しており、ある特定の人間(たち)が歌唱もしくは演奏する。つまり、もしその人間が死んだならば、その死は、「そのアーティスト」として体系化されてきたそれまでの一連の流れの終焉を意味する。「A」というアーティストとして活動する人間がもし死ねば、「A」も終わりを迎えるということである。「A」というアーティストと、それを作り上げている人間は不可分の関係にあるのだ。

 

一方でVOCALOIDは、肉体を持った実体としては存在しておらず、言ってしまえば我々リスナー/クリエイターの認識が単なる「楽器」に人格を与えているという極めて稀な状態にある。

 

この特異な様相がVOCALOIDに与えたものこそが「半永久性」である。たとえVOCALOIDの楽曲を製作する、ある特定の人間がいなくなったとしても、VOCALOIDというアーティストの一連の流れは決して途切れない。なぜなら、VOCALOIDの場合、「VOCALOID」というアーティストと、それを作り上げている人間が別存在であるからだ。

 

しかしこれだけでは「アイドルだって同じような形態やろ!」という反論が出てくるだろう。しかしよく考えて欲しい。VOCALOIDは人間ではない。我々の認識が勝手に性格や容姿を仮託しただけの「機械」なのだ。アイドルと違って、死なない。

 

これらによって導かれるのは、例えば、VOCALOID楽曲を製作しているXという人間が死んでも、アーティストとして存在する「VOCALOID」自体は終わりを迎えたことにはならないということである。これが「半永久性」である。

 

どうでもいいけど「半」って何だよと思う方がいるだろうから説明しよう。確かにVOCALOIDは上述した意味においては永久性を備えたものではあるが、その価値は、プロデューサーとしての人間が存在することで成り立っているものなので、仮に核戦争などでもし人類が絶滅したりしたら流石に永久性は保障されないだろうなと考えたゆえに「半」と置いただけである。

 

そしてこの半永久性は、音楽界隈に革命をもたらした。

 

それまで自分の音楽性を外部に放出する手段に乏しかったインターネットに突如舞い降りた、有形であり、同時に無形である、「電子の歌姫」が瞬く間にDTM界を風靡したのだ。

 

これにより、今まで燻っていたDTMerやらバンドマンやらは、「VOCALOID」というファッショナブルなタグを利用することで自分を大衆へと売り出すことに成功できるようになった。

 

今やプロへの登竜門としてVOCALOIDを起用するルーキーたちが現れるほどにVOCALOIDは権威を持つようになり、ニコニコ動画には毎日新曲が何十何百曲と投稿されるようになった。

 

そして案の定これらをマネタイズできるだろうと企んだ金の亡者たちがウヨウヨ寄ってきたのはまぁまた別の話…

 

色々回りくどい理論立てをしてきたが、要はVOCALOIDは他のアーティストとは全く違う側面を持つ面白いモノだよということである。

 

俺はすこぶる飽き性なので、発掘しても発掘しても全く供給が途切れないVOCALOIDという音楽カテゴリに対しては、決して飽きることができないのである。

 

ありがとう初音ミク、ありがとうVOCALOID、これからも末長くよろしくな。

 

そろそろ長文にも飽きてきた頃だろうから、VOCALOIDに触れたいけど曲多すぎてどれ聴けばいいのか分からん!という人用に色々なジャンルの曲と、それを得意とする代表的なボカロPを紹介しようと思う。

 

(URLはニコニコのアカウントを持っていない人のためにyoutubeの動画を貼らせて頂くが、できるなら是非ニコニコ動画にアップされた正式版を視聴するようにして欲しい)

 

1.テクノ系

【初音ミク PV】Chaining Intention【HD】[HD1080p] - YouTube

Chaining Intention (Treow Feat.初音ミク)

 

[KarenT]思慮するゾンビ(feat. 初音ミク)/FICUSEL - YouTube

思慮するゾンビ (FICUSEL Feat.初音ミク)

 

何れ菖蒲か杜若 feat. 初音ミク / millstones - YouTube

何れ菖蒲か杜若 (millstones Feat.初音ミク)

 

[60fps Full] shake it! シェイクイット! - Hatsune Miku Rin Len 初音ミク 鏡音リン レン DIVA English Romaji PDA FT - YouTube

shake it! (emon Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】YOUTHFUL DAYS' GRAFFITI【オリジナル】 - YouTube

YOUTHFUL DAYS' GRAFFITI (鼻そうめんP Feat.初音ミク)

 

【かめりあ feat.GUMI】朝色の紙飛行機 - YouTube

朝色の紙飛行機 (かめりあ Feat.GUMI)

 

やはりVOCALOIDといえばまずはテクノ系であろう。無機質な声質が理路整然としたメロディにマッチし、ついついグイッと引き込まれる感覚を覚えること請け合いである。

 

上記のボカロPが気に入ったならば、よよP、ざにお(パイパンP)、ギガP、八王子P、すけっちP、ATOLS、ハイネケンPなどもオススメだ。

 

2.ロック系

【初音ミク】lost【オリジナル】 - YouTube

lost (164 Feat.初音ミク)

 

https://m.youtube.com/watch?v=STbj31OfEko

パズル (クワガタP Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】16ビットガール【オリジナル】 - YouTube

16ビットガール (うしろめたさP Feat.初音ミク)

 

【初音さん】サボテンと蜃気楼【オリジナル】 - YouTube

サボテンと蜃気楼 (若干P Feat.初音ミク)

 

Iron Quality - 最後の晩餐 Last Supper - YouTube

最後の晩餐 (ナナホシ管弦楽団 Feat.鏡音リン)

 

愛及屋烏/初音ミク・flower - YouTube

愛及屋烏 (バルーン Feat.初音ミク&flower)

 

ロックは流石に広義すぎるのでなるべく色んなジャンルのロック曲をかき集めてきた。

 

164、クワガタPあたりが好みなら光収容、ライブP、パワーコードP、ナノウ(ほえほえP)あたりがドンピシャだろう。

 

うしろめたさP、若干Pみたいな、所謂サブカルバンドっぽいのが聴きたいなら石風呂、田中じゅんじろー、糞田舎P、電ポルP、wowaka(現実逃避P)、KulfiQあたりがGOOD!

 

ナナホシ管弦楽団はなんというか比類すべきPが他にいないので紹介しようがない。もしいたら俺に教えで欲しいくらいである(笑)

 

バルーンのような、ハチ(米津玄師)の流れを汲んだ感じのバンドサウンドならHaTa、あな兄などがオススメである。

 

3.ヒップホップ、レゲエ、R&B

https://m.youtube.com/watch?v=9Ad4uSYOgE4

OVER (鮭P Feat.初音ミク)

 

【鏡音リン】エンゼルフィッシュ 【オリジナルPV】 - YouTube

エンゼルフィッシュ (パトリチェフ Feat.初音ミク)

 

Hotty, Hotty, Hotty - takamatt feat.GUMI - YouTube

Hotty, Hotty, Hotty (takamatt Feat.GUMI)

 

巡音ルカ DING DONG - YouTube

Ding-Dong (miksolodyne-ts Feat.巡音ルカ)

 

【初音ミクV3】下戸にカルアミルクを【セルフカバー】 - YouTube

下戸にカルアミルクを (あえる Feat.初音ミク)

 

意外と忘れられがちだがVOCALOIDはこの手のジャンルもお手の物である。しかし、まだまだその他のジャンルに比べればマイナーで動画数も少ないのでこれからの発展に大いに期待したい。

 

その他のオススメPは11P、Dixie Flatline、瀬戸航、空海月、向日葵紅蓮あたりだ。

 

4.伝統音楽系

【MEIKO・KAITO】番凩【オリジナル】 - YouTube

番凩 (仕事してP Feat.KAITO&MEIKO)

 

オリジナル曲・月翅 【VY1】中文字幕 - YouTube

月翅 (SeikoP Feat.VY1)

 

【鏡音リン・レン】 紡唄 -つむぎうた- 【オリジナル曲】 - YouTube

紡唄 (DATEKEN Feat.鏡音リン&レン)

 

『デルニエ旅行記』by PIPPO feat.初音ミク - YouTube

デルニエ旅行記 (PIPPO Feat.初音ミク)

 

谺、碧海、那由多を見定むアグラフォノスの詩篇 gumi- - YouTube

谺、碧海、那由多を見定むアグラフォノスの詩篇 (Neru&ざうに Feat.GUMI)

 

VOCALOIDの多様性は各国の文化性にも肉薄していく。最近では、和風曲ばかりでなくエスニック系だったりラテン系だったりする国際色豊かな曲がランキングに浮上してくることも稀ではない。

 

和風曲は「VOCALOID和風曲」タグで調べるのが一番である。その他は「VOCALOID民族調曲」で調べれば大抵出てくるだろう。オススメはSeleP、kaoling、yanagi、新城P、yuukiss、shrあたり。

 

5.キワモノ系

【初音ミク】デンパラダイム【オリジナル】【一图流】 - YouTube

デンパラダイム (lumo Feat.初音ミク)

 

大丈夫P - ミクサン - YouTube

ミクサン (大丈夫P Feat.初音ミク)

 

【鏡音リン】私は演者です【オリジナル】実写+手書3DPV,フル - YouTube

私は演者です (ヒッキーP Feat.鏡音リン)

 

【初音ミク】sleepy dance【VOCALOIDMV】 - YouTube

sleepy dance (Temporu Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】エイリアン・エイリアン・エイリアン【オリジナル曲】 - YouTube

エイリアン・エイリアン・エイリアン (松傘 Feat.初音ミク)

 

これこそまさにVOCALOIDの真骨頂。他では真似できない芸当の数々。こういう歪んだ才能を遺憾なく発揮するにはVOCALOIDは最高の媒体だろう。

 

この辺の曲が好みなら、「感性の反乱β」とか「アンダーグラウンドボカロジャパン」みたいなタグを辿ってみるとよい。第一線を走るような曲群とはまた違った面白味がある。

 

6.単に俺が好きなやつ

初音ミク Haruna haruna808 - YouTube

Haruna (haruna808 Feat.初音ミク)

 

【whoo × 初音ミク】虹 / Niji / Rainbow【Romaji & English】 - YouTube

虹 (whoo Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】 オリジナル曲 「嘘ついてるの」 - YouTube

嘘ついてるの (フナコシP Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】つれてって ehamiku【オリジナル】 作:EHAMIC - YouTube

つれてって (エハミック Feat.初音ミク)

 

【初音ミク】We are friends,aren't We?【オリジナル曲】 - YouTube

We are friends aren't We? (宮沢もよよ Feat.初音ミク)

 

ここら辺は本当に俺の好みなので合う人にはとことん合うだろうし合わない人にはとことん合わないだろう(笑)

 

とまぁこんな感じに紹介してきたわけだが、これでも紹介したボカロ曲、ボカロPはほんっっっっっっの一部に過ぎない。

 

そう、良曲はそこかしこにまだ埋まったままなのだ。

 

今日はちょうど3月9日、つまり初音ミクの日である。これを機に、あなたも広大なVOCALOIDの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか?