美忘録

羅列です

今年印象に残った映画10本

押井守は最も映画に心酔していたころ、年間で1000本もの映画を見ていたらしい。とにかく本数をこなすことでレヴィ=ストロースよろしくそこに遍在する「構造」を看取し、それを自身の作劇にも生かしていたという。中でも氏は吸血鬼やフランケンシュタインが…

映画レビュー〜ちくちく編〜

これはひどい!と思った映画のレビューをいくつか紹介します。 こんなに悪口を言うことは、稀です。 1.『アタック・オブ・ザ・キラートマト』 クソ映画にも流儀というものがある。クソであることに自覚がないまま徹底的に本気でやるか、確かな自覚を持ったう…

好きな映画の中から50本くらい紹介する

色んなサブスクに加入しているものの見たい映画を探すのが一番面倒臭い、という話をよく聞くので、備忘録も兼ねて好きな映画の中から50本くらい適当に紹介しようと思います。 1.ソナチネ(北野武、1993) 2.老人Z(北久保弘之、1991) 3.オンリー・ゴッド(…

映画レビュー自選10本

こんちわ因果だよ!某感想投稿サイトに映画のレビューをポツポツ上げてるのでその中からイイ感じのやつを10本くらい転載しちゃいます! 1.高畑勲『おもひでぽろぽろ』(1991) 「マジに田舎でやってけんの?」星2.5/5 タエ子はトレンド最前線の姉たちにやや…

VOCALOID-リリックをめぐって

お久しぶりです。因果です。 本を読んだり映画を観ていたりしていたら、いつの間にかVOCALOIDが遠ざかりつつあったので、急いで駆け寄りました。これはその駆け寄りの記録になります。4万字弱あるので好きなところだけ読んでいただければそれだけでもう十分…

喪失ヶ浜の午後

車窓に覗く景色を意味のある形象として捉えられるようになりつつある。私はドコモタワーだとか都庁だとかスクランブルスクエアだとかいった高層建築がいつの間にか平べったい公営住宅にすり替わっていることに気がついた。 茫漠とした旅情が俺は今からどこど…

私をタイに連れてって

~はじめに:悲しい夏休み~ 大学生活にも順調に斜陽が差しかかって久しかったが、そんな俺にもついに一世一代の健康大学生チャンスが舞い込んできた。 海外旅行。 思えば夏休みの半分は座敷牢で日がな一日インターネットにうつつを抜かす無精の日々。 1日の…

必然性なきVOCALOIDはVOCALOIDたりえない

映画、文学、音楽。それがどのような形態をとるにせよ、作品にはすべからく必然性が込められるべきだと私は考えています。というのも、そもそも作品という概念の定立根拠として、必然性は不可避的に存在するからです。必然性がなければ作品でないといっても…

摩天楼とセックス、漕がれるべきペダル

夜とはつまり予感である。それは不吉な重力を持った雲霧となって街全体をすっぽり覆っている。東口に出れば馬鹿騒ぎが、路地を曲がれば暴力が、グラスを傾ければセックスが自明的に存在していると誰もが思い込んでいる。しかし予感はあくまで予感であり結果…

都心で撮れたヘンな写真まとめ

「金はないが活力だけはある」。そんな都内在住の貧乏大学生御用達の趣味といえばやはり「散歩」だろう。この日本国において散歩は全国民に付与された平等の権利だ。いくら歩こうが区境を跨ごうが一銭たりとも徴収されることはない。 「ゆりかもめは高い」?…

10選+αで語る2018年ボカロシーン

あけましておめでとうございます、因果です。2019年は洗剤を切らさないよう頑張っていくことを目標にしました。あとはちゃんと単位を取る。 さて、2018年のボカロシーンも語るに尽きぬ激動の一年だったと言って過言ではないでしょう。そこで私の10選や話題曲…

ブログ書いてないブログ/ゲロ吐きました

全然ブログ書いてない。恐ろしいくらい書いてない。「nikoniko390831さん、そろそろ○○(記事名)を書いてから一年が経ちます」という通知がたくさん来て怖くなっちゃった。去年はいっぱい書いてたんだなと思った。年末は今年度のボカロ10選についての記事とか…

"ダサくない"ボカロ曲15選

お久しぶりです。因果です。 突然だが、ボカロはダサい。 ちょっと言い過ぎたかもしれない。ニュアンスとしては「ボカロはダサい曲が多い」の方が近いかもしれない。 「ダサい」という言葉があまりにもバズワードすぎるのでここで本ブログにおける「ダサい」…

バイト バイト バイト

高2の頃にコンビニバイトで精魂尽き果てるまで使役された過去から長らくバイトを控えていた俺。しかし、金を口座から下ろすたびに残高表示を見ないように目を瞑る日々がそれはもう惨めでたまらなかったのでそろそろ働くかと思い立ち、バイトを探すことにした…

VOCALOIDにおける作り手/受け手の関係

VOCALOID界隈、殊にリスナー界隈においては以下のような議論が頻繁に巻き起こる。それは、作り手/受け手がそれぞれどう振る舞うべきかについての議論である。これについて作り手/受け手がそれぞれの立場から喧々諤々と意見を鍔迫り合わせる様子は界隈にいる…

東京極貧紀行〜浅草・スカイツリー編〜

春先、私はふと旅に出たくなり、東京の格安スポットについて検索をかけた。 しかしヒットしたのは関東の暇そうな大学生の「格安で行ける東京の名スポット!」みたいなブログ。それを見た私は思わず血反吐を吐いた。 「1000円以内で食べられる格安ランチ!」…

10選+αで語る2017年ボカロシーン

あけましておめでとうございます、現存在の皆さん。因果です。 2017年のボカロシーンも本当にいろいろなことがありましたので、10選の紹介を交えつつ2017年という潮流を断片的に振り返ってみたいと思います。例によってものすごい長いので部屋の隅で三角座り…

2017年終わっちゃうの悲しいブログ

ビルの隙間から都会的な無機質さを帯びた冷風が吹きすさび、アウター1枚ではどうも心細い今日この頃。気づけば2017年も数えるところあと2週間だという。 長野という辺境の地を飛び出し辿り着いたこの東京。引っ越し当初の浮き足立つような気持ちもやや収まり…

VOCALOIDリスナーが本気でオススメするアルバムベスト25

一口にボカロ趣味とはいっても、そこには様々な形態の沼がある。マジカルミライ等の公式ライブイベント沼、Project DIVA沼、エロ同人沼、クラブイベント沼、初音ミク存在論沼など挙げれば枚挙に暇がない。「そんな沼知らん」って?うん俺も。 そんな中で割と…

新訳:砂の惑星

荒野をとぼとぼと歩いていると、初音ミクに会った。 「どうしたんです?こんなところで」「いやぁ、世界が終わっちゃったもので」2107年8月31日、つまり数ヶ月前だが、赤色巨星『マッシラケ』が超新星爆発を起こした。当初こそ地球には何の影響もないはずだ…

ボーカロイドのこれまでとこれから 後編

2.これから さて、こともあろう1万字も費やしてボカロの歴史を追ったわけであるが、ここからはボカロシーンのこれからについて私なりの考察をしてみたいと思う。 まず、17年夏(現在)は、初音ミク発売からちょうど10年ということで、活動を実質休止していた多…

ボーカロイドのこれまでとこれから 中編

第5章~ボカロ衰退期~ はじめに断っておくが、私はこの時期(14年~15年)のことをボカロ衰退期などとは微塵も思っていない。衰退論が表面化したのは完全に某歌い手(以下ケツエメ)が「なぜボーカロイドは衰退したのか」などという犬も食わない糞動画をアップ…

ボーカロイドのこれまでとこれから 前編

はじめに。初音ミク10周年おめでとうございます。私は君の歌う歌をただただ聴くことしかできませんけど、これからもよろしく願い致します。 さて本題。こうして初音ミクが多くの人間に祝福されながらめでたく10周年を迎えたということで、本文では「ボーカロ…

部屋の中に変なものがいます。【文章練習】

部屋の中に変なものがいます。 (それ)は、特に私が夜に本を読んだり携帯を見ていたりしているといます。 ですが、夜だけいるというわけではなく、たまに昼にもいます。 私は(それ)を捕まえようとしますが、夜は冷蔵庫が怖いです。 (それ)は私が夜は冷…

自転車は最強

自転車を買った。高円寺のサイクリングショップが軒並み閉業していたので早稲田まで足を運ぶ羽目になった。早稲田はクソ。 金がないのでギアチェンジ不能な1万4千円のカゴ付きクソチャリに甘んじた。もちろん保険は付けない。金がないので。 私はその場で自…

帰郷

金曜日、実家に帰った。文化祭に参加するという口実だったが、本当は友人やら後輩に会いたかっただけである。このように歳を食えば食うほど人は本心を韜晦したくなる。動機がなければ我々は何もできない。鬱。 新宿発飯田行きのバスを降りると、土臭い田畑の…

都会生活

山、川、森、空気…と海以外の自然的要素なら全て揃った哀愁と絶望の魔都長野を離れて早1週間が経過した。 ぎこちないスーツに身を包み街を闊歩する新卒社員の波に揉まれながらも何とか都会のイロハを把捉しつつある今日この頃である。 さて、長野県を離れら…