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美忘録

羅列です

金がない

さて、3月も中旬を過ぎ、花桃を揺らす春風とともに受験期の嫌な記憶もどこかへと吹き飛んでいくような、そんな心の軽い季節がやってきた。

 

大学の4年間は人生の夏休みとは言うが、そうは言ってもやはり、受験を終え、なおかつ新生活まで日程的な余裕がある今こそが、人生において一番「暇」な時期だろう。

 

しかし暇というのは持て余しすぎるとかえって煩わしくなるものであり、それを埋めるべく我々は予定を詰め込む。旅行に車校にバイトに読書ととにかく何かしらしようと思い立つわけである。

 

だがしかしこれらを遂行しようとすれば常に付きまとう問題が一つ。

 

そう、「金」である。

 

今時の暇つぶしにはとにかく金がかかる。

 

お花畑で蝶々を捕まえてキャッキャウフフするようなハイカラ趣味は今や漫画や映画の中にしか成立しない。花畑で蝶々を取るのにも金を取られる時代なのだから。

 

そう、輝かしい人類の進歩は我々に資本主義という足枷を掛けてしまったのだ。金がなければ何もできない。精神的安寧さえあれば金など要らないとは思うが、それを得ようにもまずは金によって生活基盤を整えなければ精神云々の話以前の問題である。

 

「ならバイトでもしろや」という意見が飛んでくるだろう。しかし俺は声を大にしてこう叫びたい。

 

「金で時間は買えぬ」と。

 

こうして、何を成せるでも、何を成すでもなく我々の休暇は無為の海へと沈んでいく。無為を無駄と思う感情と、そういう無為を快感とさえ感じつつある内心とのアンビバレンツに悩まされながら。

 

あぁ、もう3月も終わるんだ。

 

金のないままに。

 

そう、金のないままに。